70歳以上になったとき
70歳以上の高齢者が医療機関等に支払う自己負担割合は現役並みの所得がある場合は3割ですが、一般および低所得者は2割となります。
なお、70歳以上75歳未満の高齢者は、受診の際、高齢受給者証の提示が必要になります。
- ※現役並み所得者とは課税所得145万円以上の人が該当します。年収ベースでは、高齢者複数世帯で520万円以上、単身世帯で383万円以上の人が該当します。
入院したときの標準負担
- 入院時食事療養費
- 入院したときは、食事療養にかかる標準負担額として1日3食を限度に1食あたり510円(市町村民税非課税世帯は110~240円)を自己負担し、標準負担額を超えた額が入院時食事療養費として給付されます。
- 入院時生活療養費
- 65歳以上の方が療養病床に入院したときは、生活療養(食事療養、温度・照明・給水に関する適切な療養環境の形成である療養)にかかる標準負担額を自己負担し、標準負担額を超えた額が入院時生活療養費(被扶養者は家族療養費)として給付されます。
生活療養標準負担額は、1食あたり食費相当と1日あたり居住費の合計額です。
医療区分Ⅰ | 医療区分Ⅱ・Ⅱ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
指定難病患者 | |||||||
食費 (1食) |
居住費 (1日) |
食費 (1食) |
居住費 (1日) |
食費 (1食) |
居住費 (1日) |
||
一般 | 510円* | 370円 | 510円* | 370円 | 300円 | 0円 | |
70歳未満 | 低所得者 | 240円 | 370円 | 240円* | 370円 | 240円* | 0円 |
70歳以上 75歳未満 |
低所得者Ⅱ | 240円 | 370円 | 240円* | 370円 | 240円* | 0円 |
低所得者Ⅰ | 140円 | 370円 | 110円 | 370円 | 110円 | 0円 |
- ※「療養病床」とは、病状は安定しているが長期の療養が必要とされる、主に高齢者など慢性疾患の患者のために、病院内に設けられた長期入院用のベッドのことをいいます。
- ※医療区分Ⅰとは、医療区分Ⅱ・Ⅲおよび指定難病患者以外の者
- ※医療区分Ⅱ・Ⅲとは、病状の程度が重篤な者または常時もしくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者
- ※低所得者Ⅱとは、低所得者Ⅰに該当しない市区町村民税非課税世帯
- ※低所得者Ⅰとは、市区町村民税非課税世帯で、かつ所得が一定基準に満たない方(年金収入80万円以下等)
- *管理栄養士又は栄養士による管理が行われてない等、基準を満たさない場合は、1食につき470円になります。
- *過去1年間の入院日数が90日以上の方は1食につき190円になります。
自己負担限度額
70歳以上の高齢者も医療費の自己負担には限度額があり、限度額を超えた場合は、超えた額が高額療養費として支給されます。外来の場合の個人ごとの自己負担限度額と、同一世帯で同一医療保険に加入している場合に、外来と入院の自己負担額を合算する世帯ごとの自己負担限度額があります。なお、世帯合算した額が自己負担限度額を超える場合は、あとから払い戻しを受けます。
区 分 | 自己負担限度額(世帯ごと) | ||
---|---|---|---|
外来(個人ごと) | |||
現役並み 所得者 |
現役並Ⅲ 標準報酬月額 83万円以上 |
252,600円+(医療費-842,000円)×1% 〔140,100円〕 |
|
現役並Ⅱ 標準報酬月額 53万円以上83万円未満 |
167,400円+(医療費-558,000円)×1% 〔93,000円〕 |
||
現役並Ⅰ 標準報酬月額 28万円以上53万円未満 |
80,100円+(医療費-267,000円)×1% 〔44,400円〕 |
||
一般の人 | 18,000円 (年間上限〈前年8月~7月〉144,000円) |
57,600円 〔44,400円〕 |
|
市町村民税非課税者 | 8,000円 | 24,600円 | |
所得が一定基準に 満たない場合等 |
15,000円 |
- ※〔 〕内は多数該当の場合で、12ヵ月間に3ヵ月以上高額療養費に該当した場合、4ヵ月目以降は多数該当として、自己負担限度額が引き下げられます。
もっと詳しく
- 前期高齢者医療費の財政調整
-
前期高齢者が加入する医療保険が偏ることにより、保険者の間で医療費の負担に不均衡が生じることから、財政の調整をはかるしくみです。対象者は65歳~74歳の高齢者になりますが、このしくみが導入されても、加入する医療保険制度が変わるわけではありません。
保険給付
それぞれが加入する医療保険制度から、引き続き同じ保険給付を受けます。
調整のしくみ
各保険者の前期高齢者の加入率と、全保険者の前期高齢者の平均加入率を比較して、負担の不均衡が調整されます。このため、前期高齢者の加入率が低い健康保険組合は納付金を負担することになります。
- 高額介護合算療養費制度
-
医療と介護の自己負担が著しく高額になる場合の負担を軽減するために、医療と介護の自己負担額を合算したときの年額の自己負担限度額が設けられています。
これは高額療養費の算定対象世帯を単位として医療と介護の自己負担額を合算し、その額が限度額を超えている場合、被保険者が申請をすれば、それぞれの自己負担の割合から限度額を超えた額を按分し、健康保険からは「高額介護合算療養費」、介護保険からは「高額医療合算介護サービス費」として支給されます。●自己負担限度額(年額 前年8月~7月) 標準報酬月額 70歳未満の人がいる世帯(*1) 70歳以上75歳未満の人がいる世帯(*2) 75歳以上の世帯 83万円以上 212万円 212万円 212万円 53万円以上83万円未満 141万円 141万円 141万円 28万円以上53万円未満 67万円 67万円 67万円 28万円未満 60万円 56万円 56万円 低所得者Ⅱ(*3) 34万円 31万円 31万円 低所得者Ⅰ(*4) 19万円 19万円 - (*1・2)対象となる世帯に、70歳以上75歳未満の人と70歳未満の人が混在する場合は、①まずは70歳以上75歳未満の人にかかる自己負担の合計額に、*2の区分の自己負担限度額が適用された後、②なお残る自己負担額と、70歳未満の人にかかる自己負担額との合計額とを合算した額に、*1の自己負担限度額が適用されます。
- (*3)70歳以上で世帯全員が市町村民税非課税の人等
- (*4)70歳以上で世帯全員が市町村民税非課税で所得が一定基準(年金収入80万円以下等)を満たす人等