交通事故や傷害事件など第三者の行為により病気やケガをしたとき
①健康保険を使用するときは、健康保険組合に届け出をしてください
交通事故の場合、業務上や通勤途上の事故以外であれば、健康保険で治療を受けることができます。
第三者の行為による病気やケガで、健康保険で治療を受ける場合は、健康保険組合へ「第三者の行為による傷病届」を提出しなければなりません。(健康保険法 施行規則第65条)
第三者の行為による病気やケガが原因の治療費は、本来は加害者が負担すべきものですが、健康保険組合では一時的に医療費を立て替え、被害者に代わって損害賠償(医療費)を加害者に請求します。しかし、届け出がないと、第三者の行為による病気やケガであることがわからず、請求できなくなってしまいます。
皆さまの貴重な保険料を大切に使うためにも、届け出は必ず行ってください。
「第三者の行為による傷病届」は、事故状況に応じて、健康保険組合から必要な書類をお送りしますので、できるだけ早く、事故状況をお電話などでお知らせいただけますようお願いします。
- 【注意】業務上・通勤途上での事故や負傷の場合、健康保険は使えません。
- 仕事中や通勤途中のケガや病気の場合は「労働者災害補償保険(労災保険)」が適用されますので、健康保険は使えません。
アルバイトやパートをされている被扶養者の方も同様です。なお、その場合は全額補償され自己負担はありません。医療機関を受診する際は、医療機関の窓口にその旨お伝えください。
第三者の行為による事務処理等の流れ
- 【注意】示談は慎重に!
- 健康保険で治療を受けられた場合は、加害者と示談する前に健康保険組合に治療終了日(症状固定日を含む)を連絡してください。健康保険組合に連絡せずに示談が成立した場合、健康保険組合が加害者に立て替えた治療費を請求できなくなり、被害者(被保険者)に請求する場合がありますので、注意してください。
②損害賠償請求権の代位取得(健康保険法第57条)
第三者の行為による病気やケガで、被害者になったとき、治療費等は加害者が負担する損害賠償金から支払われるのが原則です。しかし、実際には加害者が良心的でない場合や、支払い能力がない場合もあります。また、自由診療では被害者の負担が大きくなりかねません。
そこで、被害者が治療を受けた際の医療費は、健康保険組合が立て替えて、加害者へ請求することが認められています。
本来、被害者が有する損害賠償請求権を健康保険組合が取得することから、これを「損害賠償請求権の代位取得」※と言います。
- ※健康保険組合が代位取得するのは、第三者の行為による事故が原因の病気やケガの治療に関する医療費請求権のみです。自動車等の物損に関する損害賠償については、健康保険組合は関与しません。
③「第三者の行為による傷病」となる事例
- 第三者(相手側)との交通事故で受けたケガ(自転車同士の事故も含む)
- わき見運転等による自損事故によって同乗者が受けたケガ(同乗者が親族であっても適用になる場合があります。)
*負傷者が運転者の場合は「自損事故」
*負傷者が同乗者の場合は、運転者を第三者とする「第三者の行為による事故」となります。 - 不当な暴力行為で受けたケガ
- 他人の飼っているペットに噛まれた等でケガをしたとき
- 外食や購入商品等で食中毒になったとき
- 施設の設備欠陥で発生した傷病
- ゴルフ場で他人のボールが直撃したとき
- スキー、スノーボードで他人と接触しケガをしたとき
④交通事故の治療に健康保険を使った場合のメリット
- 治療費が自由診療(健康保険を使わない診療で、通常健康保険の2~3倍)に比べて安く済みます。
- 被害者に過失がある場合、被害者は過失相当分の治療費を自己負担しなければなりませんが、健康保険を使えば、被害者の負担が軽くなります。
1. できるだけ冷静に | 事故がおきたときは、ショックで冷静な判断を失うことがあります。できるだけ冷静に対処してください。 |
---|---|
2. 加害者を確認 | 確認することは、ナンバー、運転免許証、車検証などです。 |
3. 警察へ連絡 | どんな小さな事故でも、必ず警察に連絡しましょう。 |
4. 示談は慎重に | 自動車事故には後遺障害の危険がありますから、示談は慎重にしましょう。なお、健康保険で治療を受けたときは、示談の前に健康保険組合へ連絡しましょう。 |
⑤「負傷原因について(照会文書)」のご回答にご協力をお願いします
「外傷性の疾病」で受診された場合は、負傷原因を確認するために照会を行っています。これは、負傷原因が業務上や通勤途上の負傷でないか、交通事故など第三者の行為による負傷でないかなどを確認し、適正な保険給付の決定を行うための書類です。
照会文書が届いたときは、回答にご協力をお願いいたします。
もっと詳しく
- 自動車損害賠償責任保険
-
自動車で他人をキズつけたときは、法律(自動車損害賠償保障法)によって自動車の保有者が賠償する責任を負い、飛び込み自殺のように特別な事情がない限り、賠償の責任を避けることができません。そして、賠償金の支払いを確保するために、自動車の保有者はすべて強制的に、自動車損害賠償責任保険(自賠責)に加入することになっています。
●自賠責の保険金限度額
自賠責の保険金限度額は次のとおりですが、実際の損害が保険金限度額を上回ったときは、超過分を加害者が負担しなければなりません。
区 分 保険金限度額 死亡した人
(1人につき)死亡による損害につき 3,000万円 死亡までの損害につき 120万円 傷害を受けた人
(1人につき)傷害による損害につき 120万円 後遺障害による損害につき 障害等級に応じ75万円~4,000万円 - 事故証明書のもらいかた
-
- (1)自動車事故が発生した都道府県の「自動車安全運転センター事務所」へ所定の郵便振替用紙を使って、事故証明書の交付を申請します。
- (2)郵便振替用紙はどこの警察署、派出所、駐在所、損害保険会社、農業協同組合にも備えつけられています。
- (3)交付申請の手続きをしますと、センター事務所から申請者の住所または申請者が希望するところへ、証明書が送られてきます